カテゴリー : 医療

シャープ、タンパク質分析装置(2次元電気泳動の完全自動化)の開発に成功

シャープは、JST研究成果展開事業【先端計測分析技術・機器開発プログラム】の一環として、同社の研究開発本部 健康システム研究所と熊本大学大学院生命科学研究部による開発チームにより、タンパク質分子の混合物を全自動で分離できる装置を開発した。
それぞれのタンパク質分子が持つ物理的性質の違いを利用して分離する「タンパク質2次元電気泳動法)」の自動化に成功したもの。本装置により、従来の手作業では2日間かかっていた作業時間が、1/10である約100分に短縮できる。また、本装置の分析精度(分解能)は従来法の5倍で、かつ再現性のよい結果をもたらすという。
ヒトの体内には、遺伝子をもとに作られた数万種類ものタンパク質が存在する。体調変化や疾病などは、これらのごくわずかな変化が引き金となって起こる。近年、タンパク質の微細な変化を捉えて病気予防につなげる研究やその成果をデータベース化する「プロテオミクス)」と呼ばれる研究が進められており、世界規模で注目されている。しかし、この分野で従来から行われてきた2次元電気泳動法は操作が非常に難しく、熟練した研究者が数日かけて作業しなければ、再現性のよい結果が得られなかった。
同装置により、多くのタンパク質の微細な化学的変化を、より正確に短時間で再現性よく検出でき、プロテオミクス分野の基礎・応用研究を大きく発展させるという。具体的には、タンパク質の電荷や大きさといった固有の性質の違いを利用し、等電点で0.02pH、分子量注で2kDaもの分解能で分離できる。この分解能は、タンパク質に1分子のリン酸が付くという、従来法では分離できなかった変化をも見分けることが可能。
熊本大学大学院生命科学研究部の荒木令江准教授は、本装置を用いて多数の疾患に関連するタンパク質解析を行い、数々の発見をしました。その一例として、ビメンチンと呼ばれるタンパク質にリン酸が付加(リン酸化)したり分解されたりする現象が、がんの悪性化に関連することが判明した。また、脳腫瘍由来のビメンチンについて、変化パターンの個人差を解析し、特定の抗がん剤に対する「効きやすさ」も分析できることも見出した。
本装置と検査用の専用チップは、医療研究分野向けにシャープマニファクチャリングシステム株式会社が9月から販売開始する。
なお、本成果は2011年9月7~9日に開催される「分析展2011/科学機器展2011」のJSTブースにて展示すると共に、9月8日の成果発表会で口頭発表される。